山中けいじの松戸再生プラン(財政編)
【山中けいじの松戸再生30億円プラン】
ムダを見直し、未来へ再投資!
今の財政状況を私は「仕方がない」と諦めるのではなく、松戸を根本から立て直し、将来に希望を取り戻すためのチャンスと捉えています。今こそ、業務のムダや非効率を見直し、市全体で事業のあり方を見直し、新しい技術と柔軟な発想を取り入れた行政改革を進める好機です。
その気になって取り組めば、松戸市でも年間 30億円以上の財源を生み出すことは十分に可能です。
そして生まれた財源を子育て・教育・福祉・医療・地域インフラといった、市民の生活に直結する分野に徹底的に再投資していきます。この改革の目的は、市民に新たな負担を求めることではなく、市民の安心と幸福を守り、次の世代に誇れる松戸を残すための決断です。私は現実を直視しながらも、希望を見失わずに、松戸の未来に向けた改革に取り組みます。
<具体策>
■ その1 事務事業評価の全庁導入(削減目標額:20億円)
松戸市は「職員の負担になる」という理由で、全庁的な事務事業評価(行政が行っている全ての事業をゼロベースで見直す制度)を行っていません。
しかし実際、松戸市と同規模(一般会計約 2,000 億円)の品川区では、事務事業評価を行って、年間20億円の歳出削減を実現しています。松戸市でもこの実績のある手法を取り入れ、
- 重複している事業
- 成果が見えにくい事業
- すでに民間に置き換えられる事業
- 時代のニーズに合わない旧態依然の事業
をゼロベースで再点検することで、将来に向けた新たな財源を創出します。
この見直しは「市民サービスを削る」ためのものではありません。むしろ、時代に合わなくなった事業から、本当に必要な教育・子育て・福祉・医療など、暮らしに直結する分野に予算を投じていくことが目的です。
■ その2 内部事務改革による経費削減(削減目標額:4億円)
日々の業務では、ペーパーレス化・デジタル化を一気に加速させることで紙代・印刷費・郵送費といった“目に見える経費”だけでなく、申請・承認・文書処理といった目に見えない時間コストまで、大幅な削減が可能です。
また、業務マニュアルの整備や、庁内業務の標準化・定型化を進めることで、担当者によるバラつきを減らし、事務作業そのものの効率化を推進します。これにより、人件費を抑えながらも職員の負担を軽減できる賢い経費削減が実現します。
実際に、財政規模が近い西宮市では、こうした内部業務改革の推進で年間2~4億円規模の経費削減が見込まれています。 松戸市もこの動きを参考に「人手に頼らず、仕組みで支える行政運営」へ転換することで、持続可能な行財政基盤を築いていくべきです。
■ その3 人件費の抑制(削減目標額:8億円)
松戸市は全部署を対象に「どの業務に、どれだけの時間と人手がかかっているか」を把握するための業務量調査を実施しました。業務の重複やムダを見つけ出し、人員の過不足を見える化することが目的です。この調査には1,000 万円以上の費用がかけられましたが、十分に得られたデータが活用されていません。結果を活かすために必要なのが「定数管理計画」です。
たとえば
- 業務量に対して人が多すぎる部署
- 逆に業務が逼迫しているにもかかわらず人が足りない部署
こうした人員配置のアンバランスを是正し、ムダなく、バランスのとれた市全体の人員体制を再設計することができます。
実際、定数管理計画を策定した西宮市では、年間3~8億円の人件費削減を見込む改革が進められています。 松戸市でも、せっかく実施した業務量調査を宝の持ち腐れにせず、本格的に機能させることで、財源創出と行政効率の両立を目指していくべきです。
【医療も財政も、どちらも守る!持続可能な医療体制の再構築へ】
いま必要なのは、医療の削減ではなく「医療の再構築」です。
限られた財源でも、将来にわたって持続可能なかたちで医療の質を守り抜くため、「守るべき医療」 と「見直すべき医療」を丁寧に仕分けし、戦略的に再設計していくことが求められています。それも単なる一律削減ではなく、地域における役割分担や院内の支出構造の見直しなど、ロジカルな判断に基づいた柔軟な選択が不可欠です。
現実を直視しつつも、市民の安心と医療の持続可能性を両立させる―そのための「新しい医療のかたち」を、松戸市から築いていきます。
<具体策>
■ その1 政策医療は、公的責任でしっかり守る
救急・小児・周産期・感染症・災害医療など、民間では担いにくい「政策医療」は、行政が責任を持って 守り抜くべき分野です。こうした「命を守る最後の砦」としての役割は、市が明確に責任を持ち、継続的な支援と機能強化を行っていきます。
■その2■医療の質を守りながら、持続可能なコスト構造へ
現在の市立病院は、極めて高コストな医療提供体制にもかかわらず、それに見合った収益が得られていません。背景には、市内に全国有数の民間病院が複数集積し、地域内の医療競争が非常に激しいという事情があります。この環境下で、市立病院だけが収益を急増させるのは容易ではありません。だからこそ今、単なる収益拡大ではなく、コスト構造の見直しによって支出側からの改善を図る必要があります。
そのために、「病院単体での支出見直し」と「地域全体での医療機能の分担の整理」を同時に進めます。
【1】院内のコスト最適化
支出削減は、医療の質を落とすのではなく、むしろ質を維持しながら、非効率な構造を解消していくために、以下の2つの視点から取り組みを進めます。
① 重複する診療体制や非効率な運用の見直し
診療体制の見直しは、松戸市立総合医療センターにおけるコスト最適化の出発点です。
- 民間医療機関と重複する診療科の見直し
市の公的資源は、本当に民間で担えない「政策医療」に集中させるべきです。 - 空床率の高い病棟の統廃合
診療ニーズと稼働実態に応じた病棟統合を検討し、人的・物的リソースを集中的に活用する体制へ移行します。 - 診療科間の連携強化と再配置
診療科の連携不足による業務重複や分業の非効率を是正し、院内でのチーム医療を強化す ることで、重複業務の 排除・医師の負担軽減につなげます。
② 高止まりしている人件費・委託費の点検と是正
支出の中でも、人件費と業務委託費は予算に最も影響のある改善対象です。 現在の契約や配置が過去の慣習に基づいたままになっていないか、徹底的な点検を求めます。
- 人件費の構造改革
診療報酬制度や地域ニーズに照らして、人員配置の妥当性を再検討。業務量に比して手厚すぎる配置となっている領域は、業務の見直し・集約化などの適正化を図ります。 - 委託業務の再点検
外部委託している清掃・警備・事務管理等の業務について、契約単価の妥当性や業務内容の過不足を見直します。委託先の選定における競争性・透明性を確保することで、価格の適正化も促進します。 - 配置転換・アウトソーシングの活用
業務量に応じた柔軟な人材活用や、一部業務の民間移管によって、病院全体の人的コスト構造を持続可能な水準に再設計します。
【2】地域連携による役割分担 ―医療の重複とムダをなくす、持続可能な地域医療体制へ
松戸市立総合医療センターが全ての診療分野をカバーするのは、一見「頼れる存在」に思えます。しかし現実には、それが人材・設備の過剰な分散を招き、結果として高コスト体制の常態化につながっています。
特に本市は、全国有数の民間医療機関が集積しています。優秀な人材と専門性の高い施設の地域特性を活かさない手はありません。 今こそ「全てを公立が抱える」という発想から脱却し、地域全体で支え合う医療へと転換するべきです。 そのために必要なのが、公立と民間の機能分担=医療の再整理です。
- 民間で十分対応可能な診療分野は、民間に任せる
一般内科や整形外科、皮膚科など、既に市内民間病院で安定した診療実績がある分野は、市立病院が無理に診療体制を維持する必要はありません。むしろ、競合によって患者の分散や医療資源の重複が生じている現状を是正し、市全体での最適配置を進めるべきです。 - 市立病院は「政策医療」に特化し、質と責任を強化
救急・小児・周産期・感染症・災害医療など、民間医療機関では対応が難しい、採算性よりも公共性が重視される領域を担うのが、公立病院の本来の使命です。ここに経営資源を集中させ、質の高い医療の継続と専門人材の確保を進めていくことが、結果として地域全体の安心につながります。 - 市民にも医療者にもわかりやすい「役割の見える化」
現在は「どの病院で何ができるのか」が市民にとって分かりにくい状況にあります。診療分担を明確化することで、紹介や連携がスムーズになるだけでなく、無駄な検査・転院・混雑の防止 にもつながります。これは、医療従事者の働き方改革や患者満足度の向上にも直結します。市民の命を守るために、分担と連携のある地域医療へと、今こそ舵を切るべきです
■ その3 経営形態の見直しで、責任あるガバナンスを!
一般に公立病院は、病院経営の経験がない市役所職員が、数年ごとの人事異動で担当に就く体制であり、極めて複雑な医療経営を現場任せで回しているのが実情です。この体制では、年間 300 億円を超える巨額な運営規模に見合った意思決定や改善策は打ち出せません。
そこで注目すべきなのが、地方独立行政法人(独法化)等の経営形態の見直しです。これにより、医療の専門性を確保しつつ、予算管理・人件費・施設運営などのコスト意識を組織全体に浸透させる体制づくりが可能となります。
全国でも導入が進んでいるこの手法は、医療の質を維持しながら、経営効率を高めるための現実的な選択肢として、松戸市でも真剣に検討すべき段階に来ています。
■ その4 数字に基づく議論と、納得のいく改善プロセスを
医業収支や人件費、病床稼働率、外来収益などの財務データを可視化し、市民や議会に開示することで、病院に対する市民の信頼を取り戻します。不透明な状況のままでは、どれほど努力しても「改革の成果」が伝わりません。経営改善の進捗は定期的に公表し、外部評価や医療経営の専門家の意見も取り入れながら、数字に基づいた納得のいく再構築プロセスを進めます。
■持続可能な医療へ―市民の命と財政の両方を守る改革へ
私は、医療そのものを削ることを目的とするのではなく、コストの最適化によって持続可能な体制を再構築することを選びます。10 年後、20 年後も安心して松戸で暮らせるように。
今こそ、医療の質を守りながら、財政を立て直す現実的なステップを進める時です。未来を守る医療、そして崩壊させない財政。そのどちらも諦めず、市民とともに、丁寧で信頼ある改革を実行します。